僕がまだ幼児期だった頃に小さな赤ちゃんの天使が一人、僕のまわりを白い羽をパタパタさせながら飛んでいた。
ニコニコと笑顔を絶やさずに白い羽をパタパタさせながら僕のまわりを飛んでいたんだ。
たまに、僕の肩に乗って羽を休ませて居眠りをしてたりもしていた……。
小さな子供ながらにこの赤ちゃんの天使くんは何時から僕のところにいるんだろう?と疑問に思っていた。
ある日、「ねぇ?キミはどこからやってきて、いつからここにいるの?」と赤ちゃん天使に質問したことがあった。
赤ちゃん天使は答えてはくれずにニコニコしながら白い羽をパタパタさせながら僕のまわりを居心地が良さそうに飛んでいたんだ。
母に赤ちゃん天使のことを話ししてみると母はこう言ってくれた。
「きっと、その赤ちゃん天使はあなたを見守ってくれているんじゃないかな?」
母の言葉を聞いて僕はその時から赤ちゃん天使のことが大好きになり大切な友達に思えた。
赤ちゃん天使とは何年も一緒にずっと過ごせていた。
僕が喜んでいると一緒に笑い合ったり、僕が悲しいことがあって、ワンワン泣いていると「よし、よし」と言って温かい手で僕の背中をさすってなぐさめてくれた。
僕が悪さ(母の財布からお金を盗ろうとした時とか……)をすると「めっ!!」と言ってよく怒られた……。
僕が9歳最後の10歳になる前の晩に眠っていた時、夢の中に赤ちゃん天使がでてきて僕にこう言ったんだ。
「悲しいけど、キミといられるのは今夜までなんだ……ずっと一緒にいたいのだけど……ごめんね。遠くからでもずっとキミを見守っているからね。バイバイ。」
目覚めた時には朝になっていて、赤ちゃん天使はいなくなっていた。
突然、赤ちゃん天使がいなくなってしまい寂しさのあまり数日間泣いてばかりいた。
赤ちゃん天使がいなくなってから時は何十年と過ぎ僕は大人になっていた。
大人になった今でも赤ちゃん天使のことは忘れたことはない。
きっと、今でも遠くから大人になった僕を見守ってくれているんだろうなと信じている。
今では目にすることは出来ないのだが、たまに赤ちゃん天使があの頃のように白い羽をパタパタさせながら僕のまわりを気持ち良さそうに飛んでいる気がするんだ。
そんな時、僕は懐かしい気持ちに浸って、とても穏やかな気持ちになれるんだ。
最後までお読み下さり誠にありがとうございます。
雅蓮。