発表会。

常日頃、人の失敗を期待している人がいる。

何時も、人の欠点を探したがる人がいる。

そんな人達は、あらゆる人達の失敗や欠点を見つけ出しネタを収集しては、他の人達にそのネタを発表している。

発表している時がそんな人達の何よりの至福の時間。

常日頃、人の間違いを期待している人がいる。

何時も、人の短所を探したがる人がいる。

そんな人達は、あらゆる人達の間違いや短所を見つけ出しネタを収集しては、他の人達にそのネタを発表している。

発表している時がそんな人達の幸福な時間。

日々、人に見られたくないところばかりに目を凝らして見ている人達。

毎日、人のあら探しをしてあらを見つけては、ネタを収集している人達。

そんな人達は、収集したネタを披露する時間を心待ちにしている。

至福な時間を得られる発表会。

幸福な時間を得られる発表会。

そんな人達の発表会は今日も開かれている。

あの時の君へ。

あの時の君は、日に日に痩せていき、顔も青白くて目の中の瞳孔も開いたままで真っ黒だった。

あの時の君はただ、どこからか襲ってくる恐怖と突然やってくる寂寥感から逃れたかっただけなんだ。

気付いてあげられなくてごめんね。

話を聞いてあげられなくてごめんね。

救ってあげられなくてごめんね。

傍にいてあげられなくてごめんね。

あの時の君は、自分を責めながら生きていたね。泣きながら僕に電話をかけてきた時もあった。何か紛らわすものが必要だったんだよね。

あの時の君はただ、どこからか襲ってくる恐怖と突然やってくる寂寥感から逃れたかっただけなんだ。

気付いあげられなくてごめんね。

話を聞いてあげられなくてごめんね。

救ってあげられなくてごめんね。

傍にいてあげられなくてごめんね。

あの時、君と過ごした日々は僕の宝物だよ。

君から貰った宝物はずっと大切にしていくからね。

小さな白い折り紙

今日は待ちに待った自分への御褒美の日。

小さな白い折り紙を食べられる日。

人差し指の上にちょこんとのるくらいの白い折り紙。

その折り紙を食べるとね、魔法にかかった感じになるんだよ。

別の世界にも行けるんだ。

甘い蜜をこれでもかっていうくらいに味わえるんだ。

自分は天才で偉人なんだと思えてしまうんだよ。

今日の贅沢な食事は白い小さな折り紙。

人差し指の上にちょこんとのるくらいの白い折り紙。

その折り紙を食べると愉快でいられるの。

音が物に感じるの。

半分に切ったキャベツの断面を見た時は爆笑した。

手の平のシワが宇宙の中みたいだったの。

今日は沢山の友人に会える。白い小さな折り紙を食べてる人達と楽しめるんだ。

自分達の楽園をつくるんだ。自由でいられる楽園をね。

光っているものが物体となって目の前まで飛んでくるんだよ。

一時間が一分に感じて時間の感覚が無くなるんだ。

オリジナルの絵も観賞できちゃうんだよ。

自分が超能力者とも思えちゃうんだ。

小さな白い折り紙は、自分を幸せにしてくれる。

御褒美の日には小さな白い折り紙を食べられる。

この日のためにがんばっていられるの。

運命の赤い糸。

私の赤い糸はどんな人と繋がっているの?

私の運命の人は何故むかえに来てくれないの?

私の右手の人差し指から生えている赤い糸は今日も真っ赤に光輝きゆらゆら揺れていてまるで鼓舞しているかのよう。

しかしながら、待てど暮らせど赤い糸が繋がっている人に出会えていない。

私の赤い糸はどんな人と繋がっているの?

私の運命の人は何故むかえに来てくれないの?

いくら待っても私の前に現れてはくれない運命の人。もどかしい気持ちを抱えながら過ごす日々。

永久に出会えないのではないか?運命の人なんて存在しないのではないか?と悲観的に毎日を送っている。

私の赤い糸はどんな人と繋がっているの?

私の運命の人は何故むかえに来てくれないの?

私は待つことを止めた。待っているだけではダメなんだと気付きたのだ。

自分から動かなければ!この赤い糸で運命の人をつり上げるんだ!私はそう決心したのだ。


遥か先までのびている赤い糸をたどってあなたに会いに行くからね。

必ずやあなたの目の前に現れるから待っていてね、運命の人。

私は昼夜、運命の人を探し続けた。赤い糸を辿って1日中走り続けた。

足がもげようがはってでもあなたの元にたどり着いてみせる。雨が降ろうが槍が降ろうがあなたを探すことを諦めるものか。

遥か先まで伸びている赤い糸をたどってあなたに会いに行くからね。

必ずやあなたの目の前に現れるから待っていてね、運命の人。

寝食を忘れ長く走り続けていた私に限界がきてしまいとうとう私は倒れこんでしまった。

馬鹿だ私は……何事にも体が資本とゆうことを忘れていた。私はこのまま朽果ててしまうのかな?運命の人の顔をみれずに……。そんなの悲しすぎる……。

遥か先まで伸びている赤い糸をたどってあなたに会いに行くからね。

必ずやあなたの目の前に現れるから待っていてね、運命の人。

バタンッ !!

ん?人が倒れる音?どうやら、私の真横に何者かが倒れこんでしまったようだ。

少し横になって体力が回復してきた私は真横に倒れている何者かが心配になり起き上がることが出来た。

遥か先まで伸びている赤い糸をたどってあなたに会いに行くからね。

必ずやあなたの目の前に現れるから待っていてね、運命の人。

そっか……あなただったんだね……。

起き上って目にしたものは、私の右手の赤い糸と真横で倒れている人の左手の人差し指から生えている赤い糸が繋がっていた様だった。衝撃的な場面……。

この人も私と同じに……運命の人を探し続けていたんだね。昼夜寝食を忘れて走り続けていたんだね。似た者同士?私は笑いを堪えずに爆笑してしまっていた。

私の爆笑で倒れていた人が意識を取り戻せたようで起き上がろうとしていた。

私は咄嗟に私の両手でその人の両手を強く握りしめ起き上がれるよう手伝い、お互いよろよろになりながら立ち上がることが出来た。

私達はお互いの目を見つめ合いながら長いこと棒立ちになっていて言葉が発せずにいた。

その人の服はボロボロで薄汚れていて髪はボサボサ、顔は青白く痩せこけていて青黒いくまは目の下を覆っていた。今にも死んでしまいそうなくらい弱っているみたいだった。

私もその人と同じような姿をしているのだろう。今にも再び倒れこんでもおかしくない状態だ。

しかしながら、その人の私を強く見つめる目のお陰で私は立っていられる力をもらえているのだ。みるみる生きるエネルギーが奥底から湧いてくるのだ。


沈黙を破るかのように、私は右手の赤い糸をその人に見せながら、「今日から宜しくお願い致します。」と軽く会釈をしながら挨拶をした。

「こ、こちらこそよ、よ、宜しくお願い致します。」とその人は顔を赤く染めながら深々と会釈した。そして照れながら私に左手の赤い糸を見せてくれた。

その人の照れた表情を見た瞬間、胸がキュンとなりその人を無性に愛しく思え、抱き付いてしまった。

その人も私を包み込むようにして抱いてくれた。

私達は引き寄せ合って融合するかのように抱き合うことができたのだ。

「やっと、出会えた……運命の人と……。」二人とも同じ事を同時に呟いていた。運命の人と出会えた幸せを噛みしめていた。

お互いの顔を寄せ合い激しいキスを交わしていた。

運命の人の唇は弾力がありみずみずしかったので私の唇を充分に潤してくれた。

なんて優しいなんて甘いキスなんでしょう……。

甘美なキス。

ああ、このままとろけてしまいそう……。

私達がキスをしている間に私達を繋いでくれている赤い糸が神々しいくらいに赤く輝き、宙に舞いながら私達の頭上より真上でハートの形になってくれた。

ハートの形になった赤い糸は、更に強く光を放ち運命の人と私を赤く美しい光で照らしてくれた。

私達の運命的な出会いを祝福してくれているかのように。

二人の門出を祝ってくれているかのように。

赤く美しい光で私達を照らし続けてくれていたのであった。

空と金魚鉢。

晴れた日に、雲ひとつない青空を眺めてみた。

空から何者かに見られている気がした。

夜、満点の星屑の夜空を眺めてみた。

空から何者かに観察されている気がした。

雨が降る日に、灰色の空を眺めてみた。

空から何者かの視線を感じた。

夕暮れ時、赤く染まった空を眺めてみた。

空から、いくつかの瞳をのぞかせていた。

雪が降る日に、真っ白い空を眺めてみた。

空から、優しい眼差しをこちらに向けていた。

空を眺めている時、何時も思ってしまう。

この世界が金魚鉢の中だったら……と。

私達も金魚のように何者かに観賞されていたとしたらと。

そう思うと不思議と気持ちが軽くなる。

今日も空を眺めてみる。

そして、何者かに空から見守られているんだなと思ってしまう。

自分の中のもう1人の私。

彼からのラインの返事は大抵、私の期待通りの内容ではなかったりする。

そっけなさすぎる。

返事の文章も短過ぎる。

私の文章が長過ぎだから?はたまた、私の話題が中心の内容だからかな?

私なりに彼のために真心を込めた文章なのにな~……。

なんだか、彼に対して残念って気持ちを抱いてしまうのだ。

そんな時、私は悩める人に陥るのだ。

彼と私はなぜ、こんなにも合わないのだろう?
彼と私はなぜ、こんなにも違うのだろう?

彼のことが理解できない。

迷路の中から出られずに迷ってしまっているような……気分になってしまう。
解くことが困難な謎々のような……感じになってしまう。

彼のことを考えるともどかしくなってしまう。
こんな自分にも嫌気がさしてしまうのだ。

こんな日々の繰り返しに疲れを覚えた私の脳裏に別離の言葉がジュワッと焼き付きながら表れた。

なんだか、疲れちゃった……私達もうダメなのかなと心の中で呟いてしまった……。

二人の関係に終止符をうとうと思い付いてしまった時、自分の中のもう1人の私が何かを私に言ってくれていた。しかも怒り気味に……。

「ちょっと、ちょっと!お待ちなさい!彼が期待通りのラインの返事をくれないから悩んだ末に別れるだって?くっだらな~い!あんた、お馬鹿だね。良いじゃない、彼のこと理解できなくってもさ!それに、彼自身だってあんたのこと理解できないわけわからん奴だって思ってるよ!お互い様ってやつだね。要は、相手の期待ばかり望んでばかりいないで自分が変わっていけば良いだけのこと。まあ、彼のさ、喜ぶようなことや嬉しくなるようなことを言ってあげたり、してあげたりすれば良いんじゃないの?さっ!細かいことをネチネチ考えるのは止めっ!二人の幸福な未来永劫を想像してちょうだいな!頑張れよ!もう1人の私!」

なんだか、もう1人の私に耳の痛い説教を長々とされてしまった。

わかってるんだけどさ~……でもな~……。

あっ!いけね!また、ネチネチの悩みに陥るとこだった。

そっかぁ~彼と私の幸福な未来永劫かぁ~。

想像するとなんだか、二人の関係に希望が持てる気がしてきた。

先程までの悩める人から解放された気がする。清々しい気分にもなれていた。

もう1人の私に救われたんだ。もう1人の私にありがとう。

そして、私は鞄の中にあるスマホを取り出して手にとり彼にラインをうつのであった。

彼が喜んでくれそうな嬉しいと思ってくれるような文章にしようと一つ一つ言葉をうっていくのであった。返事の期待は望まずに。

ありがとうと感謝。

ありがとうを何回言えたかな?

感謝と感じたことが何回あったかな?

私は常日頃、ありがとうって言えたことや感謝と感じたことをノートに書き留めるようにしている。

朝、目覚まし時計が私を起こしてくれた。
目覚まし時計にいつもありがとうねと言えた。

「行ってらっしゃい、気を付けてね」と言ってくれた母に感謝を感じた。

家を出る時に、玄関横に飾られているお花達に家族に癒しと元気をくれてありがとうと心の中で言えた。

バスに乗車する時、一緒にバスを待っていたお婆さんが「お先にどうぞ」と言って乗る順番を先を譲って下さった。ありがとうございますと言えた。

コンビニのレジの会計の時、レジのお兄さんが笑顔で素敵な接客をしてくれた。そんな、お兄さんにありがとうと言えた。

商店街を歩いていた時、見知らぬおじぃさんが、おじぃさんが落としたゴミではらしかぬ散らばっていたゴミを一つ一つ拾い集めていてそれをゴミ箱に捨てていた光景を目の当たりにした。
おじぃさんの行為に心をうたれてしまい、おじぃさんに感謝の気持ちを持てた。

職場で仕事仲間の1人がクッキーを家で作って持ってきてくれた。職場の人達、一人一人にクッキーを振る舞ってくるた。クッキーを作って持ってきてくれた仲間に「クッキー、美味しかったよ!御馳走様!ありがとう」と言えた。

帰りのバスの中で車窓から映し出された、赤く染まった夕焼けの空と緑の山々の自然の美しさに見惚れながら感動していた時に、山から何本か生えているような大きな鉄塔をなんとなく眺めていた。
あんなに高い山にあんな大きな鉄塔を建てる人達がいるんだなと思った。
その人達のお陰でこうして安全で豊かな生活を送ることが出来るんだなとしみじみ思った。心の底から感謝の気持ちが湧いてきた。

家に着いて玄関を開けた時、私は「ただいま~!」と何時もどうりに言った。先に帰って来てた家族達は何時もどうりに「おかえり~!」と言ってくれた。なんだか、心の芯にジーンとくるものがあった。帰りを待っていてくれる家族に感謝の気持ちでいっぱいになった。

玄関横にいるお花達に今日2回目の「ありがとう」をお花達に直接言えた。

私はこれから先、もっとありがとうが沢山言えて感謝の気持ちを多く感じられる人になりたい。どんな時にでも。

ありがとうって言えたことや感謝を感じたことをノートに沢山書き綴っていこう。

ありがとうと感謝の言葉をノートの中に埋め尽くしていこう。

ありがとうと感謝の色を持っているような人になれる為に。