運命の赤い糸。

私の赤い糸はどんな人と繋がっているの?

私の運命の人は何故むかえに来てくれないの?

私の右手の人差し指から生えている赤い糸は今日も真っ赤に光輝きゆらゆら揺れていてまるで鼓舞しているかのよう。

しかしながら、待てど暮らせど赤い糸が繋がっている人に出会えていない。

私の赤い糸はどんな人と繋がっているの?

私の運命の人は何故むかえに来てくれないの?

いくら待っても私の前に現れてはくれない運命の人。もどかしい気持ちを抱えながら過ごす日々。

永久に出会えないのではないか?運命の人なんて存在しないのではないか?と悲観的に毎日を送っている。

私の赤い糸はどんな人と繋がっているの?

私の運命の人は何故むかえに来てくれないの?

私は待つことを止めた。待っているだけではダメなんだと気付きたのだ。

自分から動かなければ!この赤い糸で運命の人をつり上げるんだ!私はそう決心したのだ。


遥か先までのびている赤い糸をたどってあなたに会いに行くからね。

必ずやあなたの目の前に現れるから待っていてね、運命の人。

私は昼夜、運命の人を探し続けた。赤い糸を辿って1日中走り続けた。

足がもげようがはってでもあなたの元にたどり着いてみせる。雨が降ろうが槍が降ろうがあなたを探すことを諦めるものか。

遥か先まで伸びている赤い糸をたどってあなたに会いに行くからね。

必ずやあなたの目の前に現れるから待っていてね、運命の人。

寝食を忘れ長く走り続けていた私に限界がきてしまいとうとう私は倒れこんでしまった。

馬鹿だ私は……何事にも体が資本とゆうことを忘れていた。私はこのまま朽果ててしまうのかな?運命の人の顔をみれずに……。そんなの悲しすぎる……。

遥か先まで伸びている赤い糸をたどってあなたに会いに行くからね。

必ずやあなたの目の前に現れるから待っていてね、運命の人。

バタンッ !!

ん?人が倒れる音?どうやら、私の真横に何者かが倒れこんでしまったようだ。

少し横になって体力が回復してきた私は真横に倒れている何者かが心配になり起き上がることが出来た。

遥か先まで伸びている赤い糸をたどってあなたに会いに行くからね。

必ずやあなたの目の前に現れるから待っていてね、運命の人。

そっか……あなただったんだね……。

起き上って目にしたものは、私の右手の赤い糸と真横で倒れている人の左手の人差し指から生えている赤い糸が繋がっていた様だった。衝撃的な場面……。

この人も私と同じに……運命の人を探し続けていたんだね。昼夜寝食を忘れて走り続けていたんだね。似た者同士?私は笑いを堪えずに爆笑してしまっていた。

私の爆笑で倒れていた人が意識を取り戻せたようで起き上がろうとしていた。

私は咄嗟に私の両手でその人の両手を強く握りしめ起き上がれるよう手伝い、お互いよろよろになりながら立ち上がることが出来た。

私達はお互いの目を見つめ合いながら長いこと棒立ちになっていて言葉が発せずにいた。

その人の服はボロボロで薄汚れていて髪はボサボサ、顔は青白く痩せこけていて青黒いくまは目の下を覆っていた。今にも死んでしまいそうなくらい弱っているみたいだった。

私もその人と同じような姿をしているのだろう。今にも再び倒れこんでもおかしくない状態だ。

しかしながら、その人の私を強く見つめる目のお陰で私は立っていられる力をもらえているのだ。みるみる生きるエネルギーが奥底から湧いてくるのだ。


沈黙を破るかのように、私は右手の赤い糸をその人に見せながら、「今日から宜しくお願い致します。」と軽く会釈をしながら挨拶をした。

「こ、こちらこそよ、よ、宜しくお願い致します。」とその人は顔を赤く染めながら深々と会釈した。そして照れながら私に左手の赤い糸を見せてくれた。

その人の照れた表情を見た瞬間、胸がキュンとなりその人を無性に愛しく思え、抱き付いてしまった。

その人も私を包み込むようにして抱いてくれた。

私達は引き寄せ合って融合するかのように抱き合うことができたのだ。

「やっと、出会えた……運命の人と……。」二人とも同じ事を同時に呟いていた。運命の人と出会えた幸せを噛みしめていた。

お互いの顔を寄せ合い激しいキスを交わしていた。

運命の人の唇は弾力がありみずみずしかったので私の唇を充分に潤してくれた。

なんて優しいなんて甘いキスなんでしょう……。

甘美なキス。

ああ、このままとろけてしまいそう……。

私達がキスをしている間に私達を繋いでくれている赤い糸が神々しいくらいに赤く輝き、宙に舞いながら私達の頭上より真上でハートの形になってくれた。

ハートの形になった赤い糸は、更に強く光を放ち運命の人と私を赤く美しい光で照らしてくれた。

私達の運命的な出会いを祝福してくれているかのように。

二人の門出を祝ってくれているかのように。

赤く美しい光で私達を照らし続けてくれていたのであった。