雨降る夜。
傘をささずに何処かを目指してひたすら走っていた。
雨にうたれ続けながら走っていた私は疲れきってしまい走る足を止めた。
その場にうずくまってしまい動けなくなってしまった。
雨は容赦なく強く降り続けていた。
雨にうたれながら考えた。
私はいったいどこに行こうとしていたのだろう?なぜ、急いで焦りながら走り続けていたのだろう?
わからない…。不安な気持ちでいっぱいになっていた。
目を閉じながらうずくまって長いこと悩み考え続けた。
視界を閉ざし雨音に耳を澄ましてみると不思議なことがおきた。
雨音がリズムをとりはじめてメロディーのように聴こえてきたのだ。
少し風も吹いてきた。
風が五線譜となって雨音が音符になり風の五線譜にのっかって一つの曲が奏でられている感じがした。
私は愉快な気持ちになり曲をききながらおどっていた。暗い雨の中。
まわりの草木や花たちが音楽にのって歌を歌いはじめた。
楽器を持った虫たちも表れてのりのりで楽器を弾き始めてその場を盛り上げていた。
辺りはまるで音楽祭のようになっていた。
鳥たちが音楽に合わせながら雨の夜空を舞っていた。
いつの間にか野良犬や野良猫たちも私と一緒に雨の中を楽しそうに踊っていた。
次第に雨は止んで満天の星たちや月が夜空から顔をのぞかせて踊っている私達を愉快そうにみていた。
音楽は止むことなくながれていて私達は一晩中踊り明かした。
夜が明けて朝になろうとしていた。
太陽が出てきて月や星たちに挨拶をして談笑していた。
踊り疲れた私は雲の上で休んでいた。
雲が優しく私を包みこみ「大丈夫だよ。安心してお休み」と言ってくれた。
照りつく太陽の光が雨で濡れていた私の衣服を乾かしてくれた。温もりを感じた。
先ほどの私の中の不安な気持ちはすっかり無くなっていた。安らぎに満ちていた。
今もなりやまない音楽と太陽と月と星たちの談笑をききながら安心して雲に包まれながら眠りに落ちていた。
何時もスターマークを下さり、お読み下さり誠にありがとうございます。感謝致します。
雅蓮。